防火・準耐火構造認定書に係わるQ&A

NPO法人 住宅外装テクニカルセンター(JTC)が取得した防火・準耐火構造認定の標準仕様は「窯業系サイディングと標準施工」マニュアル(一般社団法人日本窯業外装材協会発行)と比較した場合、より広い範囲の認定仕様となっております。これは防火性能試験において性能が確保できる最大の範囲を示したものだからです。
一方、住宅などの建物の外壁には、防火性(火災安全性)に加えて耐久性、耐震性、耐風圧性なども要求されます。
したがって、窯業系サイディングの採用に当たっては一般社団法人日本窯業外装材協会(NYG)の標準仕様を遵守した施工をしていただきたくお願いいたします。
なお、 防火性能以外の外壁性能を確保するために必要な標準施工仕様については、NYG発行の「窯業系サイディングと標準施工」 マニュアルに加えて、会員各社のカタログ・技術資料を必ずご確認下さいますようお願いいたします。

以下に示します回答はNYGの見解になりますが、最終的には建築主事の判断が優先します。

1. 共通

1-1 移行認定とはなんですか。
1-1
移行認定とは、平成12年の建築基準法改正で、仕様規定から性能規定に変わったこと等から、法改正前の認定について企業、団体等からの申請により、改正建築基準法に基づいて平成13年から平成15年にかけて交付されたものです。
1-2 認定書に記載されている会社名や代表者名が現在異なっている場合、認定書の記載内容を更新する必要はないですか。
1-2
建築基準法に基づく大臣認定は、会社や製品などを特定したものではなく、認定書に記載されている仕様を対象として認定されています。そのため、認定書が発行された後に、会社名や代表者名が変更になってもその効力が失われることはありませんので、記載内容の変更も行われていません。
1-3 大臣認定書の別添が手書きで修正されていますが、正式なものはないのですか。
1-3
移行認定に当たり、旧認定書の内容に手書きで修正が加えられているものがありますが、その修正されたものが現在の認定書の原本であり正式な認定書となっています。
1-4 認定書に記載されていない事項の判断はどうしたらよいでしょうか。
1-4
建築主事等の判断となりますので、特定行政庁、指定確認検査機関に確認してください。
1-5 各認定の「別添」の図面に記載のある通りに施工しなければならないのですか。図面に無い納まりは認定の範囲外になるのですか。
1-5
図面はあくまで代表的な例示です。図面に表わしきれない納まりについては「別添」の認定条件から判断されることとなりますので、詳細については特定行政庁、指定確認検査機関に確認してください。
1-6 木製や鋼製等の下地材においてそのサイズ等の詳細が耐火構造の認定書に明記されていない場合、何を使用してもよいのですか。
1-6
認定上は特に制約を受けませんが、構造上有害な影響がないことを確認する必要があります。
1-7 屋内側被覆のせっこうボードの施工方法について認定書に明記されていない部分の規定はないのですか。
1-7
JTC取得認定では施工方法の記載はありませんが、JASS26、一般社団法人石膏ボード工業会および同工業会加盟メーカーの標準仕様書、または日本建築センターの準耐火建築物の防火設計指針を参考として、詳細については、建築主事、指定確認検査機関等に確認してください。
1-8 外壁(耐力壁)の耐力壁とは何のことですか。
1-8
鉛直荷重を負担する壁の意味です。例えば、外壁の防・耐火認定で「外壁(耐力壁)」となっていた場合、認定の範囲に鉛直荷重を負担する部材(いわゆる、「柱」)を含む外壁の認定であるという意味です。
なお、一般に耐力壁といわれるのは、地震や風などの水平荷重を負担する壁のことを指します。
1-9 サイディングの表面に幕板、付柱等の装飾材を取り付ける場合はどうすればよいですか。
1-9
NYGの標準工法又は会員各社の施工マニュアルに従ってください。
1-10 外張り断熱工法の場合は、JTCの認定は使用できますか。
1-10
外張り断熱工法の場合は、JTCの認定は使えないと判断しています。外張り断熱については断熱材のメーカーもしくは団体が個別に認定を取得している場合がありますので、詳しくは、ご使用になる断熱材のメーカーもしくは団体にお問い合わせください。
1-11 胴縁として木材ではなく樹脂製のものを使用することは可能ですか。
1-11
樹脂製の胴縁を使用することはできません。それぞれの認定の名称にも明記されております通り、窯業系サイディングを留め付ける下地は木造もしくは鉄骨造が認定の範囲です。
1-12 耐力壁である外壁の認定の場合、構造柱のサイズ等に制限がありますか。
1-12
柱などの断面寸法について防火上の制限は「別添」に記載されてはおりませんが、一般的な軸組工法であれば柱の断面寸法は105×105mm以上、枠組壁工法については告示の技術基準に従ってください。また柱、間柱が鉄材の場合(胴縁の場合は除く)は鋼材の厚さ2.3mm以上(「別添」に記載有り)となります。
1-13 無塗装サイディングを現場で塗装する際の塗料について、「別添」にある日本窯業外装材協会標準仕様に準じた推奨塗料とは何ですか。
1-13
会員各社がそれぞれ推奨している塗料のことです。会員各社に確認してください。
1-14 破風、鼻隠し、胴差し部に窯業系サイディングの同質部材を使用する場合の認定番号はどうなりますか。
1-14
胴差し部については外壁の認定番号が使用できます。
破風・鼻隠し部については一般的に屋根とみなし、不燃材料の認定番号を使用します。不燃材料の認定番号については各製造会社にお問い合わせ下さい。
1-15 バルコニー部やパラペット部に防耐火構造の認定番号は使えますか。
1-15
バルコニー部やパラペット部は防耐火認定の要求部位ではありませんが、建築主事、指定確認検査機関等から指摘を受けた場合はそれに従ってください。
1-16 準耐火構造や防火構造の認定を受けた外壁にタイルを張ることはできますか。
1-16
窯業系サイディングに有機系接着剤を用いてタイル等の不燃材を張ることは可能です。
詳細につきましては、国住指第4291号平成27年2月13日付で国土交通省から発令された「耐火構造等に係る構造方法等の認定を受けた外壁に不燃材料等を張る場合の防火上の取扱いについて」(技術的助言)をご覧ください。
https://www.mlit.go.jp/common/001080499.pdf
1-17 屋内の防火被覆はどこまで張ればよいですか。
1-17
屋外の防火被覆(窯業系サイディング)の裏側に当たる部分は防火被覆が必要となります。
ただし、対象部位が軒裏で遮られている場合は不要です。「建築物の防火避難規定の解説2016、日本建築行政会議編集、㈱ぎょうせい発行」に示されている図は、以下のとおりです。
「防火材料等の認定や運用にかかる質問・回答集」(参考資料参照)
http://www.kenchiku-bosai.or.jp/files/2017/06/015cca68153b6d03259b0562a27b5681.pdf

神奈川県建築行政連絡協議会では、「屋内側仕上げの範囲」の図を公表しています。(参考資料参照)
防火避難規定の取扱い→防火構造の屋内側の仕上げの範囲に関する神奈川県内の取扱いについて
http://www.pref.kanagawa.jp/documents/24926/28287.pdf
※神奈川県建築行政連絡協議会「屋内側仕上げの範囲」
1-18 「別添」の図面において、軒天材は1時間準耐火・45分準耐火・防火構造、破風・鼻隠しは窯業系サイディング又は不燃材料と図示されていますが、そのとおりに納めなくては認定の範囲外になるのですか。
1-18
軒天材、破風は外壁の認定の範囲外の部位になりますので、そのとおりに納める必要はありません。但し軒裏、破風・鼻隠し部分に別の防火制限が要求される場合はその制限に従ってください。

2. 防火構造

2-1 防火構造で屋内側被覆には「別添」に記載されている材料しか使用できないのですか。
2-1
JTCの認定の「別添」に記載されていない屋内側被覆材については、認定の範囲外となります。
2-2 防火構造の屋内側被覆はせっこうボード9.5mm、合板等は4mmとなっていますが、それぞれその厚さ以上の場合は認められるのでしょうか。
2-2
せっこうボード、合板等については、厚みが増すほど防火上は有利になると判断しております。
2-3 防火構造外壁において屋内側被覆に合板4mmを張る場合、断熱材としてグラスウールを75mm以上充填しますが、何K品を使用すればよいですか。
2-3
決まっておりません。何K品でも使用できます。
2-4 防火構造で内装にせっこうボード(9.5mm)を張った場合、使用できる断熱材は何ですか。
2-4
不燃材のグラスウール、ロックウールは使用できると判断しております。 有機系断熱材の場合は、JTCの認定は使えないと判断しています。有機系断熱材については断熱材のメーカーもしくは団体が個別に認定を取得している場合がありますので、詳しくは、ご使用になる断熱材のメーカーもしくは団体にお問い合わせください。
2-5 不燃下地防火構造(PC030BE-9202)の場合の屋内側のせっこうボードの施工方法で、別途LGSなどの下地を組んで、その下地にせっこうボードを留め付けしてもよいのですか。
2-5
図面の屋内側被覆の留め付け方法は一例であり、別途不燃下地を設けて屋内側被覆を留め付けても、防火性能は確保できると判断しております。
2-6 木造下地防火構造(PC030BE-9201)で屋内側被覆を真壁とする場合の施工はどうすればよいですか。
2-6
真壁造とする場合は「別添」にあるとおり、以下の納まりとしてください。
2-7 不燃下地防火構造(PC030BE-9202)の場合、屋内側被覆のために木下地を組みせっこうボードを張ってもよいですか。
2-7
可燃の木下地は使用できません。不燃の下地を組んでください。
木下地を組む場合は、木造下地防火構造(PC030BE-9201)の番号にしてください。
2-8 不燃下地防火構造(PC030BE-9202)の場合、木材の通気縦胴縁は使用できますか。
2-8
可燃の木胴縁は使用できません。木胴縁は、開口周り等で部分的に使用する場合のみ可能です。
木胴縁を使用する場合は、木造下地防火構造(PC030BE-9201)の番号にしてください。
2-9 室内側に窯業系サイディングを張りたい(両面張り)が、防火構造の認定番号は使えますか。
2-9
防火構造の室内側被覆には、サイディングは含まれておりません。
その部分だけ、準耐火構造の認定にすれば、両面張りが可能になります。
2-10 ロ準耐二号の外壁として、鉄骨造に木胴縁を取り付けてサイディングを施工することができますか。
2-10
鉄骨に木胴縁を使用した外壁は、木造下地防火構造(PC030BE-9201)の番号になります。よって、ロ準耐二号の外壁には適合しません。

3.準耐火構造

3-1 準耐火構造で使用できる断熱材は何ですか。
3-1
不燃材のグラスウール、ロックウールは使用できると判断しております。
有機系断熱材の場合は、JTCの認定は使えないと判断しています。有機系断熱材については断熱材のメーカーもしくは団体が個別に認定を取得している場合がありますので、詳しくは、ご使用になる断熱材のメーカーもしくは団体にお問い合わせください。
3-2 名称に「両面窯業系サイディング張・・・」とありますが、屋内側にも窯業系サイディングを張るのですか。
3-2
両面窯業系サイディング張とは認定上の表現で、屋外(外装)側の被覆と屋内側の被覆の両面に窯業系サイディングを使用できるという意味です。 屋内側には窯業系サイディング以外にも「別添」の標準仕様(施工仕様)の中の「屋内側の被覆」に書かれている材料が使用できます。
3-3 1時間準耐火構造外壁(QF060BE-9225)の屋内側の被覆で、厚さ16mm以上の強化せっこうボードとありますが、15mmの強化せっこうボードは使用できないのですか。
3-3
「別添」のp.23にある「5)屋内側の被覆(3)の準耐火(通)W2001」は強化せっこうボード15mmの間仕切壁の認定です。認定仕様に含まれていますので、1時間準耐火構造外壁(QF060BE-9225)の屋内側の被覆として使用できます。ただし、準耐火(通)W2001の仕様どおりに納める必要があります。

4.告示第1359号

4-1 告示第1359号で使用できる窯業系サイディングは何ですか。
4-1
厚さ15mm以上の中実品、18mm以上の中空品が使用できます。一部対象外の製品がありますので、会員各社にご確認ください。NYGのホームページから、会員各社のホームページにリンクしています。
4-2 断熱材は必要ですか。また、使用できる断熱材は何ですか。
4-2
木造の場合は使用しなくても問題ありません。ただし、使用する場合は、厚さが50mm以上のグラスウール(かさ比重0.01以上)又は厚さが55mm以上のロックウール(かさ比重0.03以上)の何れかになります。鉄骨造の場合は、上記の断熱材が必須となります。
4-3 鉄骨造の場合、「屋外側の取合い等の部分の裏面に合板等その他これらに類するものを設け」とは、具体的にどうすればいいですか。
4-3
柱及び間柱の上に12mm以上の合板等の敷目板を張るか、全面に12mm以上の合板等の面材を張ります。
4-4 鉄骨造で間柱を木材で造った場合、間柱のサイズに制約はありますか。
4-4
原則として短辺45mm以上の断面寸法の木材を使用してください。
4-5 鉄骨造の場合、屋内側の防火被覆の取合い等の部分を、当該建築物の内部への炎の侵入を有効に防止することができる構造とは、具体的にどうすればいいですか。
4-5
せっこうボードの目地の部分にガラス繊維テープを張り、その上にパテ処理をしてください。

5.その他

5-1 耐火構造告示1399号に適合する窯業系サイディングは何ですか。
5-1
窯業系サイディング(JIS A 5422該当品)であれば、すべて使用することができます。
NYGは、15mm以上のサイディングで金具留め、胴縁仕様を標準としております。それ以外の仕様につきましては、会員各社にお問合せください。